第七回民家の甲子園 なごみ賞 大阪府立芦間高等学校

大阪府立芦間高等学校 PR文

 

今回取材したその街道は、大阪の守口市にある。国道一号線と京阪電車に挟まれながらも、喧騒を忘れさせる穏やかな雰囲気に包まれている。今回どうして取材の場をこの文禄堤に決めたのか。安直に言えば近場だったからだ。我々が籍を置く芦間高校は文禄堤とは目と鼻の先にある。しかし、だからこそ我々が文禄堤を思い出として残すことに意味があるのではと我々は考えた。高校生活の中で学校以外の場所が思い出として残る事がある。時にそれがファーストフード店だったり、駅のホームだったりするだろう。芦間生の多くは文禄堤を毎日通った。部活動後疲れた体を引き摺りながら、また友達と一緒に自転車を押しながら…そういったワンシーンの中のバックグラウンドとしてこの街道をいつも思い出す。

 五枚の写真の中の一枚に一人の職人の真剣な仕事姿が写っている。川東傘提灯店の御主人、川東善弘さんだ。アポイント無しでカメラを携えてやってきた高校生五人を快く招き入れてくれた御主人は、我々に色々な話をしてくれた。「築百三十年の歴史を持つこの家は阪神淡路大震災も乗り越えた。」そう聞かされた我々は不躾ながらも家中を見渡した。「この家は中二階だから今の人には少し窮屈かな。」と笑いながら話す御主人。御主人の話ではこの街道一帯の民家は皆、中二階だという。その理由は家の中で刀を振り回すような揉め事を避ける為だそうだ。談笑が続く中、ふと感じた。涼しい。家の中が涼しいのだ。扇風機ましてエアコンの類が涼をもたらしているわけではない。その日はやや曇天ではあったものの、六月の半ばを過ぎて蒸し暑さも本格的になり始めた頃だ。きっと我々には想像し得ない日本伝統文化がこの家には隠されているのだ。普段冷房器具の恩恵にすがる我々は民家の凄さを実感した。そう、民家とは凄い。民家とは残されるべきものであると思う。我々は文禄堤を通じ、それを知った。