第九回民家の甲子園 なごみ賞 静岡県立伊東高等学校城ヶ崎分校

静岡県立伊東高等学校城ヶ崎分校 PR

 

伊豆文邸(町ぐるみの取り組み)

 

今回、私たちが撮影場所に選んだのは伊豆半島の南西部にある松崎町です。伊豆半島の東側と違って、西伊豆は今でも鉄道がなく、陸の孤島とも言われます。

松崎町にはなまこ壁が二百ヶ所以上も残っていて、江戸時代の風情を今に残す海辺の小さな町です。なまこ壁とは、壁の保全のために表面に平瓦を斜めに並べて張り付け、継ぎ目を漆喰で固めたものです。漆喰は角又と呼ばれる海藻を煮詰めたのりに、スサとワラ、それに石灰を混ぜたものです。なまこ壁は台風と火事に強く、特に江戸では明暦の大火後に需要が高まりました。

今回取材した民家は「伊豆文邸」といいます。明治四十三年の建築で、かつては呉服商を営んでいました。現在は所有者が建物を松崎町に寄贈し、明治時代を代表するなまこ壁建築として、一般にも無料で公開されています。今回私たちが写真の撮影をしていると中から、「どうぞ、どうぞ」と気さくに招き入れてくれ、お話を聞かせてくれました。近所の人たちが当番で掃除や案内をしていることや、町内の集まりや井戸端会議で近所の人たちの集会場になっていること、また、この家を守っていくための苦労話もしてくれました。

また、松崎町ではこのなまこ壁を守っていくために「伊豆文邸なまこ壁修復プロジェクト」が行われており、伊豆文邸の壊れたなまこ壁三十㎡も平成十八年十月から「松崎蔵つくり隊」が修復し始め、平成十九年三月に完成しました。伝統や文化を守っていくために一番必要とされているのが、後継者の問題です。松崎町ではなまこ壁や蔵を作る職人・後継者を育てていくという町ぐるみの取り組みが功をそうしているようです。

このように松崎町のなまこ壁は多くの人々の思いが込められて、今の時代に残っています。私たちも、松崎町の取り組みを応援し、この美しい町並みを見守っていきたいと思います。