第九回民家の甲子園 ふるさと景観賞 金沢市立工業高等学校

金沢市立工業高等学校 PR

 

 加賀百万石の城下町でも、もっとも“金沢”らしい風情を残している“ひがし茶屋街”へ。

 バス通りから歩いて2分。黒い瓦の2階建て、紅殻格子に大戸が並ぶ大きな通り。ここは藩政時代の風情を色濃く残す旧郭街。江戸時代にタイムスリップしたような町並みはよく観光雑誌の表紙を飾り、お土産屋さんが軒を連れています。毎日多くの観光客が訪れ、誰が写真を撮っても絵になる町です。

 でも、私たちが撮りたいのは本当の”金沢“。それは茶屋街の裏通り。裏は普通の住宅街です。赤茶色の外壁に黒い瓦屋根で埋め尽くされた狭くて薄暗い裏通り。人通りも少なく、ひっそりとしています。家々の戸や窓は細い格子で囲まれ、家の中の様子はまったくわかりません。あまり色のないこの通りでは丹精込めた鉢植えのみずみずしい緑とかわいい花に目が奪われてしまいました。 

裏通りに雨が降ってくると、古い木と苔むした石の何ともいえない匂いが鼻につきますが、角を曲がると途端に煮魚やみそ汁の匂いが漂ってきました。

どんどん歩いてみると今度は格子越しにかすかに音が聴こえてきました。足を止めて耳を傾けるとそれは横笛の音色。風雅ですね。

今度は“ちりんちりん、ちりんちりん”と鐘の音がしてきました。豆腐屋さんです。行ってみると近所のおばちゃんが丁度豆腐を買っているところ。この界隈では昔から豆腐屋さんが行商車で町をまわってくるそうです。

細い路地を抜け、ようやく茶屋街のメインストリートに戻ると花嫁道中が行われていました。近くの神社で式を挙げて、ここを歩く人が増えているそうです。赤い番傘が映え、まるで映画の1シーン。全然知らない近所の人も出てきてみんなで祝福。金沢の人もここが好きなんですね。

 観光地の裏側には、素朴であったかい匂いや音のする家があるからこそ、ここひがしには今もこの町並みが残っているんですよね。