第五回民家の甲子園 なごみ賞 香川県立多度津高等学校

香川県立多度津工業高等学校 PR文

 

 

時をささえて…

   時をきざんで…

 

●古くから海上交通の要所として栄えた多度津の町には、たくさんの人や物が行き交いました。桜川ぞいには米蔵や醤油蔵が、旧街道には古い商店や町屋が今に残り、往時の賑わいを感じることができます。建築科で学ぶ私たちは卒業研究として、そんな多度津の町を歩き、写真を撮り、建物の状態や構造を調べ、話を聞いています。先輩たちが取り組んでもう五年目です。

 

●硯ケ丘にある白髭神社の石段を登ると、町並みが見下ろせます。春には町の花でもある桜が満開になります。お寺や町屋の屋根、銭湯の煉瓦煙突、遠くには讃岐富士が見える、私たちの好きな多度津の風景です。

 

●金毘羅さんへ続く街道ぞいでは、漆喰がはげ落ちてしまった蔵や土塀の壁が、時の流れをきざんでいます。貴族院議員もでたという旧家の、敷地には蔵や屋敷が建ち並んでいて、これだけ広い屋敷の維持は個人の力では難しいと思いました。このまま時が経って痛んでしまうのは、町の歴史や文化も消えるようで寂しいことです。

 

●一方、金物店では築百年以上の蔵がいまでも現役です。一階では左官さんが痛んだ土壁の補修をしていました。二階へ上がると、一抱えほどもある太い梁や、頭上をうねる構造材に圧倒されます。「けっこう修繕費がかかってなぁ…」と主人が話してくれました。

 

●梁に残るチョウナの跡や棟梁の墨文字。力強い屋根の木組に包まれて日々の練習に励むのは、多工の少林寺拳法部です。かつては米蔵だったという建物は、若者たちが心身を鍛える道院となり、いまも健在です。

 

●多度津の町並みのなかで、時をささえてきた力強い木組、時をきざんできた白壁や土塀。カメラの狭いファインダーに入りきらない画像は、デジタル処理でつなげて作品にしました。時をささえ、時をきざんできた町並みを、未来に残してほしいと願いながら……。