第五回民家の甲子園 町並み賞 静岡県立伊東高等学校城ヶ崎分校

静岡県立伊東高等学校城ヶ崎分校 PR文

 

私たちは、川端康成の『伊豆の踊り子』や、ペリー提督の黒船来航の地として有名な伊豆下田にレンズを向けました。

駅前の通りを挟んで海側に向かうと、そこは別世界です。江戸時代末期から昭和初期の間に建てられた、伊豆石やなまこ壁を用いた民家や商家が多く残っています。伊豆石は多孔性の軟石で、水分を含むと青みがかり、肌触りの良い石として伊豆の温泉の浴槽や流しの床に使用されています。また、建材としても古くから使われてきました。主に蔵などに使用されていたようですが、下田周辺では民家の母屋などにも使用され、防火や防湿効果のあるなまこ壁と併用をされている建物を実際に見ることもできました。古い木造建築物の家並みに今風の店舗が建てられると、その空間に違和感を覚えますが、伊豆石を使用し建てられた家並みの中では、その違和感もないようでした。現在の建築物と共存し、今と昔の不思議な空間を違和感なく作り出してしまう――そこに伊豆石の魅力があるように思われます。

 街中に入るとわかりますが、通りが狭くて車一台分しかないような細い場所もあります。そのせいでしょうか、駅周辺の賑やかさとはうって変わり、どこからともなく流れてくるゆったりとした生活の時間が肌に触れます。背中を丸め、潮風にあたってしわくちゃになった手で干物を作るおじいさんとおばあさんの後ろ姿。少し湿った土の香りがするアジサイの花たちと同じ視線にまでしゃがんで見下ろす下田の港町。私たちの歩調に合わせるようにして流れていく小川。そのどれもが、この街並みができたなまこ壁の家が建てられた当時と変わることなくあるのではと思うと、自然と指はシャッターを切ります。そうして感動のままに一瞬を切り取り、私たちは写真の中に閉じ込めていきます。

 下田の街並み独特の様子と私たちの感動が、これらの写真を通して伝えることができたらと思います。