第八回民家の甲子園 審査員特別賞 石川県立小松高等学校

石川県立小松高等学校 PR

 

『大切なものは意外と近くに』

 

風を探してみんなでやってきたのは加賀・山代温泉。

温泉街を歩けば、風に乗ってお風呂の香りが漂ってくる。

うーん、なかなか落ち着く。まあ私はこの界隈に住んでいるので、いつもの事と言えばいつもの事なのだが。

と、思って暫し佇んでいると、きゃあきゃあはしゃいで友達が走って行ってしまった。

待たれよ諸君!そっちの道、逆!

荘厳な鳥居の前に立てば、奥まで続く長い石段。ここは服部神社。なんという段数そして傾斜!

勢いよく登ったはいいが、疲れて立ち止まってしまった。後ろを振り向けば、わお。

眼下に広がる見た事のない景色。友達が小さく見える。

 

歩き疲れて温泉に入りたくなった・・・。

友達がジモティー(地元民)から情報を得たのか、「足湯」へ行こうと言いだした。

よし、行きますか。

旅館に囲まれた隅に、あった。何年ぶりに来ただろう。

ヤタガラスの像から湧き出る源泉は昔と何も変わらない。たっぷり我が足を労ろう。と思ったが、

あっちぃ!何なんだこの熱さ!苦行!ほんの少しつけただけで、足が真っ赤だ!

 

そろそろお腹が空いてきた。甘いものが食べたいなぁ。勿論、先生の奢りで。

足湯の近くにお誂えむきの場所を発見。

「はづちを楽堂」

はづちを?はづちをってどういう意味?

天羽槌雄神(アメノハヅチヲノカミ)という機織りの神様に由来している、と茶店の店員さんが教えてくれた。ジモティーでも知らないことがあるんだ。

抹茶かき氷が熱い体にしみて、思わずふぅと息が漏れる。・・・ありがとう、先生のお財布。

 

楽堂には、記念撮影用であろう顔を出して写真を撮る類のパネルもあった。

俵を担いだ男の姿のそれには菖蒲湯祭り、と書いてある。

響き渡る祭囃子と威勢のいい掛け声。神輿が通った後を菖蒲の芳香が満たす。

立ち並ぶ屋台に色とりどりの浴衣――

おっと、ついつい妄想が。

 

先生が集合をかけている。そろそろ解散の時間だ。

じゃあねー、と言って皆が続々と先生の車に乗り込んでいく。きゃははきゃはは。皆の笑顔になんか自分まで嬉しくなった。遠ざかる車を、唯一ジモティーの私は手を振り見送る。車は右折し、見えなくなった。私は手を振り終え、帰路につく。

この街がちょっと輝いて見えた。