「会津坂下の早乙女踊り」は、七月七日の御田植祭で五穀豊穣を祈り奉納される。
福島県立会津農林高等学校早乙女踊り保存クラブは、町から依頼を受けて十二年前に創設された。今では全校女子3分の1が参加する、学校を挙げた伝統文化継承活動となっている。最近は地域の枠を超え、被災地のために活動する機会も頂くようになった。
そして今年、九〇歳のおばあちゃんたちにご指導頂き、戦後踊られていなかった幻の「扇の舞」を復活させることができた。
1 響~豊作を願う~
今年も田植えの季節が来る。「会津坂下の早乙女踊り」は、稲作を守る神様の使いとも
言われている。町内の田んぼで、「福島復興米」の豊作祈願のた め、 あぜ道に並び、お囃子、謡いの「響き」の中、踊りを奉納する。
2 響~酒米に込める~
町内の曙酒造の酒蔵で、被災地復興支援事業「全国各地のお米をブレンドした日本酒
の仕込み」のお手伝いをする。「おいしくなれ、おいしくなれ。」と祈りながら、「会津坂下の早乙女踊り」の謡いを蔵の中で「響か」せる。
3 響~早乙女になる~
昔、踊り手だった九〇歳のおばあちゃん。戦後途絶えていた「扇の舞」を本校体育
館で指導してくださる。お囃子と謡いの「響き」を聞くと、自然に身体が動き出す。
おばあちゃんが早乙女になる。
4 響~共に守る~
御田植祭一週間前、町の早乙女踊り保存会の皆さんと合同練習をする。地域の伝統
文化を守りたいという熱い想い、「魂」と「魂」が、暑い体育館の中で「響き」合う。
5 響~受け継ぐ者~
七月七日御田植祭本番。幻の「扇の舞」が復活した瞬間。おばあちゃんに教えて頂いた
「扇の舞」を町役場前で奉納する。たくさんの町民の方々の大歓声とお囃子、謡いの音色が相まった大きな大きな「響き」の中で、伝統文化を受け継ぐ者としての覚悟ができる。