第十二回民家大賞 民家大賞 高知県立安芸桜ヶ丘高等学校

今回、安芸や安田町の私たちがまだまだ知らない顔を訪ねて歩いてみると、古い町並み、瓦屋、桶屋、窯元、おもてなしの心など、歴史や文化の伝統が町中に点在していることに気づいた。

 

 

「満ち足りた風景」

安田町には、比較的古い町並みが残っており、歩いていると自然に心が和んでくる。木造とコンクリート造が混在する中、特にこの家には、日本独特の美しさを感じ、ふと昔の世界に迷い込んでしまったような感覚になり、いつまでもこの風景の中に溶け込んでいたいと思った。

 

「壁の向こう・・・・」

歩いて行くうちに、長く続いた壁があることに気づいた。上方には、のぞき窓のような空洞があり、それはかなり高い位置にあったので、壁の向こうに何があるのか、どんな世界が広がっているのか、とても興味深く、見てみたい思いにかられた。「いいものが撮れますように!」そう願いながら思いっきり手をのばし、シャッターを切った。

 

「褪せた歴史」

今では使われていない登り窯。ガス窯や電気窯が主流となる中、登り窯の伝統を守っているのは、内原野陶芸館のみで、稼働するのは一年に一回だけ。技術を守ることはできても、一つの窯を存続させることの大変さを知った。火入れをしたときの脈々とした活気は想像もできないくらい色褪せ、その姿はもの悲しさをたたえていた。

 

「生命の息吹」

台風が多い高知県東部にはこのような石塀がたくさんある。強い雨風から住人や家をずっと守って来てくれたのだと思うと、あの幼い頃抱きかかえられた父のゴツゴツとした手のような力強さやぬくもりを感じ、生命の息吹に触れたような気がした。

 

「声なき伝言」

年老いた犬と優しい笑顔で出迎えてくれた桶職人さん。近年、安くて速い機械化に押され、手作業の桶屋さんは県下に二か所だけになったそうだ。それでも、味のある桶を求めて県内外からの注文が後を絶たないとのこと。きっと「愛着」が親から子へ、子から孫へと継がれていくのだろうなあとしみじみ思った。

 

 

「便利だから」という理由で、日本独自の文化の伝統を私たち自身の手で失くしているのではと感じたこの取材。手間をかければ、必ず、それは何かの形で返ってくる。それを受け取った時の喜びを私たちはもっと深く知り、次世代へ伝えていくことが大切なのではないだろうか。