第十二回民家の甲子園 街かど賞 愛媛県立今治北高等学校

「家が伝える人の心」      愛媛県立今治北高等学校

 

  春、桜の花に包まれ、支えられて私たちは校門をくぐる。創立一一四年の長い歴史の中で先輩方もそうであったと思う。私たち北高生は桜の花に思いを受け継いできた。

 今回、大会に応募することを決めて、私たちは、しまなみ海道を渡って島をめぐり、大きな桜の木が植えられている一軒の古民家と出会った。花の季節は終わっていたけれど、新緑に輝き、どっしりとそこに根を張る桜の木が私たちを迎えてくれた。

 取材した古民家は、長い間無人であり、それを家主さんは時間をかけて再生させていった。きっかけは、父の言葉であったという。病床にあった家主さんのお父さんは家族と暮らした家を昔のように蘇らせたい、その思いを娘に託した(作品1)。庭には池があり、石のかえるが家の方を向いて座っている。家を見守っているように感じた(作品2)。再生する中で多くの発見があったという。大きな梁に押し入れの窓。屋根裏部屋から見下ろした時、暮らしを見守る家の思いが伝わってきたようだった(作品3)。かつて人と共に暮らした品を一つ一つ蘇らせながらの民家再生。そこにはご主人の故郷福島の家から持ち帰ったものもあった。震災でつぶれた家の前に立ちすくむご主人に寄り添い、思い出の品を島の家で生き返らせた(作品4)。命を吹き返した家に愛情を込めて名前を付けた。その名は「陀阿茶」。ロシア語で「城」、父へのプレゼントであった(作品5)。再生への取り組みはお父さんの心の支えとなり、奇跡的に回復した。家の再生は命の再生だと感じた。

 家は写真と似ている。人の暮らしや思いを映し出す。民家の歴史の中に人の歴史が生きている。そしてそこからまた新しい歴史が生まれる。しかし受け継ごうとする心がないと途切れてしまう。だから、私たちは「写真を撮る」ことで、家と人の歴史を次世代に継いでいきたいと思う。季節の移ろいの中で人と共に生きる民家の姿をこれからも追っていきたい。