第十六回民家の甲子園 民家大賞(文部科学大臣賞) 愛媛県立今治北高等学校

 

               愛媛県立今治北高等学校

 

穏やかで美しい瀬戸内海。古くから海運の大動脈として多くの船が航海し、島から志高き先人たちが世界を目指して海を渡った。そして今島々をしまなみ海道、ゆめしま海道がつないでいる。歴史と文化のある場所。自然と科学技術の幸福な共存。私たちは海を渡り、佐島の古民家宿「汐見の家」を訪れた。門をくぐると、太陽の光を浴びた真っ白いシーツが迎えてくれた。

 

 家主の西村さんは長い間無人となっていた母方の実家を処分するつもりで、六年前三十年ぶりに佐島を訪れた。しかし家の佇まいや島民の優しい人柄に触れ、また先祖の軌跡を辿る中で、再生に舵を切り替えた。地域の方々からいただいたものがこの宿で共に暮らし、旅人を迎えている(作品1 ここに集う)。

 

瀬戸内の島四国遍路。佐島では自然の巡りに合わせて旧暦の三月二十一日に行う。汐見の家を見守ってきたお大師様。子どもたちが笑顔でお接待する姿を見て幸せな気持ちになった(作品2 ぼくらの番)。

 

かつての保育所を東京から移住してきた女性二人が、くつろげるカフェを目指して改装中。島の空き家にあった木箱は本棚となり、命をつないでいく。誰かが持ってきた本を誰かが手に取り、人と本が巡り合う(作品3 手から手へ)。

 

暮らすように旅をする。旅人がゆっくり休めるようにと一枚一枚シーツにアイロンをかける(作品4 心を込めて)。

 

島の夜は静かだ。その中で汐見の家から笑い声が聞こえてくる。同じ時代を生きる人たちがここで出会い、集う(作品5 巡りの宿)。

 

地域と家族の暮らしを記憶している古民家は、新しい記憶を刻みこれからも生きていく。家族の家からみんなの家へ、新しい古民家の姿を感じた。

 地域の方に支えられて、不思議なご縁のお陰で再生できましたと西村さんはいう。思いを共有し、時代に合わせた民家の形を探しながら地域全体で守っていくことが大切だと思う。季節の移ろいの中で、人と共に生きる民家の姿をこれからも撮り続けていきたい。