第十回民家の甲子園 特別賞 高知県立安芸桜ヶ丘高等学校

 高知県立安芸桜ヶ丘高等学校 PR文

 

 高知県東部は、海、山、川と三拍子そろった自然郷です。町のあちこちには旧跡や寺院が点在し、由緒ある民家も建ち並んだ、自然と歴史が混在する、どこか懐かしく美しい「ふるさと」です。

 今回、その中の奈半利町と安芸市内を撮影しました。

 奈半利町は、農林・水産に加え、商工も盛んで、日本でも数少ない大型の船舶修理のドックがあり、日本各地から修理を待ち、大型船が停泊しています。歴史的にも山内一豊が土佐入国の際に宿泊したお寺などもある町で、捕鯨、製糸業なども栄えていたようです。特に製糸業は、6年前まで操業していた工場もあり、長い間、日本の伝統を守り続けていたのだなと身の引き締まる想いがしました。

 安芸市の古い町並みは、国道から2キロほど北に入った武家屋敷周辺にあり、竹やうばめ樫の生垣に囲まれた様子に、今も当時の面影をみることができます。

建造物だけでなく、自然や、歩いている道にさえも歴史や伝統を担ってきた『力』を感じ、私たちの心にずっしりと「存在感」を残しました。

 

セピア  ~歴史の力~

私が小学生の頃、まだ動いていた製糸工場。数え切れないほどの女性たちがここに集まり、工員として働いていた。結婚するとき、娘を嫁に出すような気持ちで社長さんは送り出していたという。ここには働く女性たちの歴史があるような気がした。そして時代とともに必要とされなくなった機械たち・・・。 今にも動き出しそうなほどきれいなままだった。

 

平面構成  ~美の力~ 

 この長く続いた壁を持つ大きな屋敷には今も住人がいる。漆喰壁と板壁に覆いかぶさるような瓦屋根。下の部分は水路があるので石垣になっている。屋根、壁、道路、影がまるで平面構成のようで、日本建築独特の美を感じた。

    

水 路  ~水の力~

 この水路が住人の生活を支えていたのではないだろうか。野菜や食器を洗ったり、洗濯をしたり、もしかすると飲料水として使われていたのかも知れない。いろいろなことに思いを馳せながら水面近くまで降り、シャッターを切った。

 

ノコギリ屋根  ~光の力~

 製糸工場の広い空間。閉め切った照明の下での作業は、決して良い環境ではなかったはずだ。だが、この工場は屋根をノコギリ状にし、頂側窓からほどよく自然光を採り入れるように考えられている。働く人たちの健康を考えた雇い主の配慮が感じられた。

 

緊張感  ~細の力~

 台所部分の瓦屋根の延長で取り付けられた井戸の上の屋根を支える細い鉄の棒、柱というにはあまりにも細すぎる。水を汲む時に雨に濡れないようにしたものであろう。そのしっかりと軒を支えている姿に驚かされた。