岐阜県立岐山高等学校 PR文
私たちは、このたび「力」というテーマを
「伝承の力」として捉え、学校の近くで古くから醤油屋を営んでいらっしゃる山川醸造さんを尋ねました。
古い町並みを残す岐阜市内に蔵元はあります。昭和初期の創業で、鵜飼いで名高い長良川の伏流水を仕込み水とし、美濃伝承の濃厚な風味のたまり醤油や豆味噌を自然製法で作ってみえます。
蔵の中に入ると、長い歴史を物語る木造り。天井には大きな梁、周りは土壁、整然と仕込み桶が並びます。私達は、杉の木桶や発酵特有の匂いに包まれ、まさに蔵元の伝統を体全体で感じとることができました。
代々大切に使い込まれた杉桶には、豊富な天然菌が住み着いていて発酵を促進させます。まさに伝承の味が守られている鍵であると感じました。
伝統の味を守るには、「新しい風も必要である」と蔵元のご主人。最近では岐阜の名物になりつつある醤油スイーツをはじめとして新しい商品を開発されて地元では大人気です。
私たちは、年に一度、開放されるという蔵元を尋ねてみました。今、話題の醤油スイーツや絞りたてのたまり・一番おいしいといわれる味噌の部分を求めて、地元の方々が大勢集まり、大変に活気づいていました。
濃厚で独特の風味であるたまり醤油や豆味噌はいつの時代も東海地方の食文化に欠かせないものです。蔵人が伝統製法を護り、多くの手間と時間をかけて醸造するからこそ、うまみ成分たっぷりのまろやかでコクのある風味になります。その伝統製法を継承して伝統食のよさとおいしさをいつまでも食卓に届けてほしいと願いました。
私たちは取材・撮影を通して「伝承の力」というのは、伝統の良さをまもりながら、また新たな力で加速させることであるということを学びました。