第十回民家の甲子園 特別賞 北海道札幌平岸高等学校

北海道札幌平岸高等学校 PR文

 

私たちは北海道の一時代を築いた港町である祝津を訪れた。一度は衰退し、寂れていた町の今と未来へかけた想いを写真とともに紹介しよう。

 

一、「春告魚」

 白い雪に覆われた山々が、祝津の海を見下ろす。漁夫たちは小さな船に乗り、銀白色の世界へ旅立つ。四月、祝津へは春の訪れを知らせる「群来」がやって来る。「群来」とは産卵のためにニシンが浅瀬へ来ること。そのため海は銀白色に染まるのである。ニシンとはまさに春告魚であるのだ。

 

二、「寂然」

 江戸期よりニシン漁場として発展した祝津。明治三十年代に最盛期を迎え、大正初期まではその威厳を保った。しかし、昭和初期にニシンの回遊が突然途絶えた。北海道の開拓を担い、栄華を誇った網元たちは祝津を離れて行った。残されたものは莫大な資金を費やして建てられた番屋のみ。祝津から人々の活気のある声が消えた。

 

三、「にしん御殿」

 ニシンと共に人々が去ってから数十年。老朽化の進む番屋はついに、取り壊される危機へと直面する。そこで立ち上がったのが祝津に残る地元の人々。祝津の歴史を絶やしてはならないという想いが、番屋の再生に人々を駆り立てた。撮影へ行った四月にも、多くの人が足を運ぶ様子を目の当たりにした。

 

四、「再興」

 ニシンが焼き上がるのを待つ親子。暖かい目で孫を見守る祖母。御殿や番屋の復興により、五月に行われた祭りには、かつての祝津のにぎわいが垣間見えた。昭和に姿を消したニシンが再び祝津に回遊してくるようになったのだ。

 

五、「伝えたいこと」

 少女が手に持つのはニシンの稚魚。この稚魚が海へと旅立ち、やがて立派なニシンとなって再び祝津へと戻ってくる。荒波にもまれ、北海道の厳しい冬を越えなければならないニシンのように、この子どもたちにも厳しい未来が待ち受けているであろう。子どもたちが様々なことを乗り越え、未来の祝津を支える力となっていることを信じたい。