第四回民家の甲子園 民家大賞 静岡県伊東高等学校 城ヶ崎分校

静岡県立伊東高等学校城ヶ崎分校 PR文 

 

 今回、民家『窓』というテーマで私たちが撮影の題材に選んだのは、私たちの住む伊豆半島の西伊豆にある、なまこ壁です。なまこ壁というのは、壁の保全のために表面に平瓦を斜めに並べて張り付け、継ぎ目を漆喰で固めたものです。この張り方を『四半張り』といい、なまこ壁の張り方として一般的なものです。この四半張りの他にも、亀の甲羅のような模様のものや、斜めではなく縦に瓦をつなげたものもあります。なまこ壁は防火、防虫、保湿、保温に優れていて、火災の時に延焼を防ぐ効果があったといわれています。なまこ壁という語の語源は、漆喰をかまぼこ状に塗り固めた形状がなまこに似ていることからそう呼ばれるようになったといいます。このなまこ壁を求めて私たちは伊豆の西海岸にある松崎町に行ってきました。

松崎町には、なまこ壁が二百八ヵ所残っていて、江戸時代の風情を今に残す海辺の小さな町です。この町について詳しく調べていくと「入江長八」という名前にたどり着きました。入江長八は漆喰細工である鏝(こて)絵の創始者で、文化十二年(一八一五)この松崎町に生まれ、江戸で狩野派の日本画を学んだ後、独特の芸術的ジャンルを開きました。『なまこ壁があったから、長八が生まれた』『長八がいたから、松崎町になまこ壁が多く普及した』など言われています。なまこ壁が入江長八という希代の芸術科を生み出したのです。

 松崎町を含め西伊豆は、未だに鉄道がなく、ひと昔前は陸の孤島と言われた所です。東海岸側から車を走らせていくと、町並みが次第に変化していくのに気がつきました。町全体がなまこ壁で出来ているのかと思うほど、なまこ壁がしっくり合っていて、建て替えられた新しい家の方が違和感を覚えるような静かな町並みでした

私たちはこの写真を通して、松崎町の暖かさが伝えられたらと思います。